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アパート投資において頭痛のたねとなるのが家賃滞納です。滞納が長引いてしまった場合、オーナーにとってさまざまな問題が生じます。このページでは、家賃滞納への対処法について紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
家賃滞納とは、期限までに家賃が支払われず延滞してしまっている状態のことです。滞納の理由はさまざまですが、家賃の回収ができなければアパート投資に失敗してしまいます。ここからは滞納された場合の留意について、具体的にお伝えしていきます。
不動産経営をしていると、どうしても滞納が発生する可能性があります。公益財団法人日本賃貸住宅管理協会の調べでは、2021年度における「月末時点での1ヶ月滞納率」は首都圏で0.5%、関西圏では1.7%、そのほかの地域では2.3%という結果でした。なお、全国の数値は0.9%となっています。この結果から、地域によって差は生じるものの、まったくのゼロということはなく、一定確率で家賃滞納が起きています。
また、「月末時点での2ヶ月滞納率」は、地域別・全国ともに1ヶ月滞納率を下回っています。このことから、2ヶ月家賃を滞納するケースは少なく、1ヶ月で解消している人が多いと推測できます。こうしたケースから、2ヶ月以上滞納する悪質な入居者だけでなく、うっかり支払いを忘れただけの人も一定数いると考えられます。
不動産のオーナーと入居者は、「決められた金額で部屋の貸し借りをする」という契約を交わしています。そのため、家賃の支払いが滞っている状態は、契約に違反するということです。一般的に、債務不履行が発生した場合は契約を解除できます。これは賃貸借契約においても相違ありません。
ただし、借地借家法は入居者を保護する内容の多い法律のため、オーナー側が賃貸借契約を解除する際には「正当事由」が必要です。正当事由として認められるのは、当事者間の信頼関係が崩れた場合のみ。そのため、数か月家賃の支払いが滞ったからといって、直ちに契約を解除するのは難しいとされています。
つまり、契約に反していても「故意に払わなかったわけではない」など、信頼関係の破綻につながらないケースでは契約解除は不可能だということです。
家賃が回収できない場合、当然ですがオーナーの収入は減少してしまいます。しかし、未回収の家賃は会計上では不動産所得となり課税の対象に。会計処理には、売上の発生とともに収入も計上する発生主義会計と、現金を受け取ったタイミングで計上する現金主義の2種類があります。
現金会計主義の場合、青色申告の手続きが必要です。未回収分の家賃収入は計上しなくても問題ないものの、過去2年の不動産取得や事業取得の合計金額が300万円を下回るなど、さまざまな条件をクリアしなければなりません。
一方で、会計処理の基本である発生主義会計は、未回収の場合でも家賃収入があったと見なして計上します。ただし、滞納された家賃が回収できなくなった場合、事業的規模で貸倒損失と判断されれば、経費として計上可能です。
家賃滞納は賃貸借契約に反する行いですが、いきなり法的手段に訴えるのは得策ではありません。ここからは、家賃滞納した際にオーナーが取れるはじめの手段について説明していきます。
アパート投資を行っている人の多くは、賃貸経営のほとんどを管理会社に委託しているでしょう。管理会社はオーナーの代わりに家賃の入金状況をチェックするため、オーナーよりも先に滞納に気付くケースが多いです。
管理会社から報告を受けた際、1ヶ月程度の滞納であれば様子を見ようと考えるオーナーもいるかもしれませんが、家賃滞納が発生した際は迅速な対処が欠かせません。しっかりと管理会社へ相談し、今後の対策について助言を受けておきましょう。
一般的に、初めて家賃滞納をした入居者に対しては電話で督促を行います。滞納者の中には、「多忙により支払い期限が過ぎてしまった」「口座の残高不足で払えなかった」など、うっかり滞納してしまったという人も少なくありません。
そんな時、電話で話せれば、滞納理由や入金予定日の目安などを聞くことが可能です。反対に、初めて滞納した人にいきなり督促状を送ってしまうと、良好な関係が崩れるなどのリスクが生じます。そのため、まずは支払いが完了していない旨を知らせる目的で、電話連絡をするのがポイントです。
電話をかけても不在が続くなど、やりとりができないこともあるでしょう。近年では振り込め詐欺などを警戒して、登録していない番号の電話には出ない人も多いです。
何度電話をしても連絡がつかない場合は、督促状を送付しましょう。書面には家賃の支払い期日を超過している、入金が確認できない、なるべく早い入金を依頼する旨を伝えます。それでも連絡が来ない場合、こちら側が支払い期日を決め、連帯保証人へ連絡する旨も記載した督促状を送ります。
督促状を送っても家賃が支払われない場合は、契約解除も見据えた催告を実施します。催告を行う前に送付する督促状は、家賃滞納者が書類を受け取ったかどうかの確認ができません。
その反面、配達証明の付いた催告書は内容証明郵便で送れるので、書類の受取日時や受取人、文章の内容などを公的に証明可能です。そのため、受け取った人は督促された事実に対して「知らない」と言い訳できなくなります。
催告を行うのと同じタイミングで、滞納した方の部屋へ直接訪問すると良いでしょう。電話や書面で反応がなかった人でも、訪問を受けることで「支払わなければならない」といったプレッシャーがかかりやすいです。
また、連絡が取れなかった人が実は入院していたり、姿をくらませているケースもあります。あまり深刻な状況でない場合であっても、家賃滞納に対する正当な理由があるのかを確認する手段として有効です。それでも家賃滞納が続く場合、最終的に法的手段に訴えなければならないでしょう。
催告などを行っても家賃の支払いに応じない場合、次は法的手段に訴える必要があります。家賃滞納者へ取れる法的手段について、詳細をチェックしておきましょう。
督促に応じない入居者に対し、法的な手続きによって退去させられるのが建物明渡し訴訟です。ここでは、訴状や賃貸借契約書といった書類をそろえ、明け渡しの申し立てを行います。なお、この訴訟では明け渡しだけでなく、滞納された家賃の請求も可能です。
申し立てから裁判開始までには、通常2~3か月程度の期間がかかります。申し立てをしても相手側が争ってこないのであれば問題ありませんが、そうでない場合は判決が下るまでに数か月の期間がかかるでしょう。
もちろん、その間も家賃収入は得られませんし、建物明渡し訴訟自体には滞納家賃の支払いや強制立退きの執行力はありません。判決の効力を持たせるには、執行文付与の申し立てが必要です。
支払督促は、滞納中の家賃を回収するのに有効な手段です。金銭での支払いや有価証券、代替物の引き渡しを請求する場合のみ、裁判所がオーナーに代わって督促状を送付してくれます。
家賃滞納者から異議申し立てがあった場合、訴訟手続きを行います。異議申し立ての期間は2週間となっているので、申立人はこの期間を過ぎてから30日以内に仮執行宣言が可能です。仮執行宣言に対する異議申し立て期間も2週間と定められており、異議が出された場合は通常の訴訟手続きを行います。
オーナーや管理会社が送った督促状で反応がなかった場合でも、裁判所から届く督促状に対しては家賃を支払う意向を見せる人も多いため、この方法は非常に有効です。ただし、支払督促では建物の明け渡しを求めることはできないため注意しましょう。
60万円以下の金銭の支払いを請求する少額訴訟は、簡易裁判所行う民事訴訟に含まれます。家賃滞納者が手続きに反対しなければ、通常の訴訟とは異なり原則1回の審理で判決が言い渡されるでしょう。
訴訟中でも話し合いで解決できれば和解となりますが、そうでない場合は法的な効果を発揮します。家賃滞納者が判決を不適当だと判断した場合、2週間以内であれば異議申し立てが可能です。申し立てがなければ通常の訴訟手続きへ進みますが、地方裁判所への控訴はできません。
また、家賃滞納者が出頭しなかったり書類が提出されなかった際は、オーナーの言い分に沿った判決が言い渡されます。一連の流れが完結するまでには、1ヶ月半程度の期間がかかるでしょう。
入居者の家賃滞納が発生した際、法的にオーナーが家賃滞納者へ行ってはならない行為も少なくありません。まずは禁止行為について把握しておきましょう。
まず注意すべきポイントとして、仮に入居者が家賃を滞納していたとしても、その部屋の玄関やポストへ賃料の支払いを督促するような張り紙などを行ってはいけません。またマンションやアパートなどで掲示板が設置されているような場合でも、その掲示板へ入居者に対する督促状を張り出すことは禁止です。
家賃滞納が発生しているという状況は、一般的に人へ知られたくないと考えられるものであり、たとえ家賃滞納が事実であったとしてもそれを第三者へ知らせるような行為は名誉毀損罪などの犯罪に該当する恐れがあります。
ここで重要な点は、張り紙に記載されている督促内容などが全て事実であったとしても名誉毀損罪が成立するということであり、場合によっては3年以下の懲役や禁固、50万円以下の罰金刑などが科される可能性もあります。
マンションの賃貸契約を締結した際に、家賃滞納時の連帯保証人を設定しているケースは少なくありません。しかし連帯保証人に連絡がつかなかったり、入居世帯がファミリーなどで他の家族がいたりする場合、つい契約者である世帯主でなく、他の家族などへ家賃の支払いを督促してしまうことはあるでしょう。
例えば、仮に親が借主として家賃滞納をしていたとしても、その子供には負の遺産として親の借金などを相続していない限り、親の代わりにそれを返済する法的義務がありません。そのため、連帯保証人としてあらかじめ認められている人間以外に家賃の督促を行った場合、それは不当な取り立てに該当して逆にオーナーの方が悪者になってしまう恐れがあります。
督促の張り出しや義務のない人への請求・督促といった行為の他にも、恫喝的な方法で家賃の支払いを求めたり、早朝や深夜に繰り返し何度も督促の電話を行ったりと、一般的に非常識だと思われるような方法で督促を行ってはいけません。むしろこのような行為をした場合、不当な取り立てとしてオーナーの側に損害賠償請求などが行われたり、警察へ被害届を出されたりする危険性もあります。
なお、非常識と思われる方法での督促は、家賃滞納をしている入居者の気持ちや感じ方にも影響されるため、オーナー自身が常識の範囲内だと思っていてもそれが非常識な対応として扱われる可能性もあります。
自力救済とは、法の定めや裁きを経ることなく、個人が自分の力や判断で違法に問題を解決することを意味しており、日本の法律は自力救済による問題解決を認めていません。
家賃滞納問題における自力救済として考えられるものは、例えばオーナーが勝手に部屋の扉の鍵を変えて、入居者が自室へ入れなくするといったことが該当します。この場合、オーナーとしては家賃が支払われていないため部屋に住む権利が失われていると考えがちですが、実際には自力救済の禁止という原則に反するため、法的に立場が悪くなるのはオーナーの側となります。逆に玄関の扉の前に障害物などを設置して部屋から出られないようにするのも違法です。
その他、当然ながらオーナーが自ら恐喝まがいの方法で家賃の支払いを求めるといったことも禁止です。
オーナーの自力救済が禁止されているからと、弁護士資格を持たない第三者へ依頼して督促を行うといった行為も厳禁となります。
そもそも日本の法律では、弁護士資格を持っていない人間が第三者として他人の問題へ介入し、解決しようとする行為を禁止しており、これは非弁行為と呼ばれます。
非弁行為は犯罪として処罰対象になる行いであり、決して安易な気持ちで取り立てなどを依頼しないようにしましょう。
なお家賃滞納について弁護士へ相談したり、不動産管理会社へ相談して適切に対処してもらったりすることは可能です。
現実的には家賃滞納が発生した際にどうすべきか、事前に管理会社などと話し合って決めておくことが無難です。
家賃滞納は問題として発生してしまうと対処が色々と面倒になって解決まで時間もかかりやすいため、未然に防止できるよう対策することが大切となります。
入居者が家賃滞納に陥る理由は様々であり、例えば急な病気やケガなどで働けなくなって貯金や収入がなくなったといったケースもあるでしょう。しかし、そのような突発的な事情だけでなく、根本的に家賃滞納のリスクが高いと思われる入居者も少なからずいることは事実です。
そのため、そういったリスク因子のある入居者を最初の時点で回避できるよう、入居審査や営業対応などをしっかりと行ってくれる管理会社へ入居者の募集や契約の代行などを依頼することが重要です。
また、万が一の事態に備えて家賃滞納時の対応マニュアルやノウハウも有しているか確認しておきましょう。
家賃保証会社は入居者の家賃滞納が発生した際に、ひとまず家賃保証会社からオーナーへ賃料を立て替えて補償します。そして、改めて家賃保証会社から入居者に対して立替払した費用などが請求されるという流れです。
そのため、入居時に入居者へ家賃保証会社と契約してもらうことにより、オーナーは家賃滞納による無収入といったリスクを減らすことが可能です。
ただし家賃保証会社の利用には手数料がかかる上、カバーしてもらえる家賃の金額にも制限があるため、家賃保証会社を利用しているからといって家賃滞納が発生した際に問題を放置してはいけません。
なお、家賃保証会社と契約してもらうのでなく、サブリース契約などによってオーナーが管理会社と契約するといった方法もあります。
現代では敷金礼金を設定していない賃貸物件も増えていますが、退去時の原状回復費用や家賃滞納時に補填するための費用として、最初に家賃数ヶ月分の敷金を設定しておくことも効果的です。
敷金を設定した場合、入居にかかる初期費用が増大するため、入居者が見つかりにくくなり空室リスクが高まる心配もあるでしょう。しかし、見方を変えれば経済的にある程度の余裕のある人だけが入居者として部屋を借りてくれるため、そもそも家賃滞納のリスクを下げられるといった考え方も可能です。
なお、実際に敷金を設定する際にはどの程度の金額が物件の価値や周辺の相場などと比較して適正なのか、不動産会社としっかり相談して決めてください。
オーナーチェンジとは、すでに入居者のいる物件を別のオーナーから買い取って、自分がオーナーとしてアパート経営やマンション経営といった不動産投資事業を引き継ぐことであり、またそのようにして取得された物件を指します。
オーナーチェンジ物件の場合、最初から入居者がいる物件を選べば空室リスクを回避できる点が強みですが、そもそもどのような入居者が部屋を借りているのか新しいオーナーでは確認しづらい点がデメリットです。
もしオーナーチェンジ物件で以前からの入居者が家賃滞納などのトラブルを起こした際は、以前のオーナーがどうこうと言われてもひるむことなく、契約内容と法律に則って毅然とした対応を心がけましょう。
定期借家契約とは、賃貸物件を貸し出す期間としてあらかじめ一定期間を設定しておき、その期間が満了すれば契約更新を行わないというタイプの契約方式です。通常の賃貸契約の場合、1年や2年ごとに自動更新が行われて賃貸契約が維持されますが、定期借家契約を採用している場合は自動更新がないため、入居者は契約が満了した時点で現在の部屋をオーナーへ明け渡さなければなりません。
定期借家契約は例えば数年後にアパートの取り壊しや建て替えを考えていたり、不動産投資事業からの撤退を決めていたりする場合に効果的な契約方式です。ただし定期借家契約は手続きに特殊性もあり、実際に採用する際は不動産会社の専門家や弁護士などへ相談しましょう。
昭和や平成初期のテレビドラマなどであれば、家賃滞納をしている入居者にオーナーが大声で督促したり、家賃の支払いを求める張り紙を玄関に掲示したりする場面も観られましたが、令和の現代においてそのような問題解決方法は全て違法です。そのため家賃滞納はそもそも発生させないよう、事前にしっかりとリスクマネジメントを考えて対策を練っておくことが、アパート経営などの不動産投資事業を営んでいく上で大切であると理解しておいてください。
入居率についての記載があり、劣化対策等級3が標準仕様のアパートを建築する大阪の不動産会社を3社紹介します。
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特徴 |
満室状態で投資をスタートできる | 社会⼈⼥性をターゲットとした物件を扱う | 医師向けの資産形成コンサルあり |
物件の立地 |
10分以内 の⼟地紹介可 |
15分以内 の⼟地紹介可 |
10分以内 の⼟地紹介可 |
住宅性能 |
防音耐震防犯防火 |
防音耐震防犯防火 |
防音耐震防犯防火 |
管理 |
3~5% | 不明 | 5% |